independence-D 世界から日本へ、日本から世界へ音楽の新しい潮流を発信していく、
インデペンデント・レーベルのコンベンションindependence-D
independence-D
SHOW CASE LIVE
COMPETITION
TRADE SHOW
FORUM&SEMINAR
AREA MAP
INFORMATION
REPORT
SET LIST
TIME TABLE
STREET ROCK DAY
METAL/SHOCK ROCK DAY
HOME > REPORT > STREET ROCK DAY
REPORT
independence-D2007 STREET ROCKDAY
 ■PROFILE
<吉羽さおり>
バカバカしいほど奇妙奇天烈でどんな思考回路で作るんだ?という異物バンドもとことん好きですが、基本はやっぱり普遍のメロディや歌心のあるバンドに心惹かれます。今回出演の LOVEDRUG のライナーノーツも書かせていただいたので、ぜひ手にとってみてください。

国内最大のインディペンデント・レーベルのコンベンション Independence-D も、
今年で3回目を迎えた。

前回の STREET ROCK DAY は、屋内3ステージ、野外1ステージを設置。

膨大な数のバンドがエントリーし、どれを見ようかしら?
なんて考えている内に終わってしまっていた……
なんてこともあったが、今年はステージ数、バンド数が絞り込まれたことで、
余裕を持って多くのバンドを見ることができた。

すべてのバンドをチェックできた、という人も多かったのではないか。

海風も冷たい時間ゆえ、まずはウォームアップを兼ねて屋内のステージへ。

1番手の、ドイツ出身 ALPHA BOY SCHOOL を観る。

ホーンセクションを擁し、スペシャルズを思わせるウィットに富んだ
スカ・サウンドで観客を踊らせる。

貫禄充分のバンドだ。

続いて屋外の ELECTRIC SUMMER へ。

彼らはコンペティション選出バンドだが、パンク・ファンには最早お馴染み。

積極的に海外ツアーをし磨いたプレイと、
親しみやすいメロディック・サウンドで観客を引っ掻き回した。

FACT は3年連続出場。海外のメタルコア・バンドとも共振する、
構成力の高いヘヴィ・サウンドで、年々そのスケール感を増すステージを展開。

途中、どうにも名前が気になる moja へ。

女性 Ds と男性の B&Vo のユニークな編成のバンドだ。

「衝撃だったな」と後ろの子たちが話していたが、
リズム隊というフォーマットの威力を活かし、
かつ大胆にぶっ壊してもいるアイディア満載のロックンロールは鮮烈。

こうした途方もなく面白い新バンドに出会えるのも、本イベントならでは。

そして屋内へ戻るとザ・ジェッジジョンソンがはじまっていた。

緻密なポップ世界を描く作品で、 STREET というより密室的イメージも強いが、
ライヴは躍動感に溢れ、ダンサブルなサウンドで驚く。

続くバンドは、 THE GET UP KIDS を手がけたことで有名なエド・ローズが
作品をプロデュースする4人、 LONG SINCE FORGOTTEN が、
朴訥としていながらも爽やかな歌心を披露した。


イベントも中盤にさしかかり、屋外ステージで SEQUENCE PULSE を堪能する。
幾何学的で静謐な空間を作り上げるインスト・ロックを
屋外でとはミスマッチかな?と思ったが、ダイナミックな演奏と緊張感で
しっかりとこのバンドらしい空間を生み出した。


ここから約1時間少々、 APPLESEED CAST と LOVEDRUG の取材のために楽屋へ。

今回が初の来日、そして本番前の両者だったが
非常にリラックスしたムードのインタビューとなった。

終えて会場へ戻るとこふど SOLEA がスタート。

何度も日本でライヴをしているが、曲が終わる毎にギャレット( Vo )が「コンニチハ!」。
きっと「ありがとう」のつもりだったのだろう。
そんな和やかさも楽曲に上乗せされた。
最新作の制作時にバンド継続の危機もあってファンを心配させたが、
今回のライヴでそれを払拭。
パワフルなバンド感と紡ぎ出される良質メロディは健在だ。

そして柏のハードコアの生ける伝説とも言うべき kamomekamome が
アクロバティックなサウンドとパフォーマンスで観客を圧倒!


個人的に楽しみにしていた LOVEDRUG 。

90's オルタナの匂いを発展させエモーショナルで映像的サウンド世界を持つバンドだ。
3 月に日本でも2 nd がリリースされるがこれは必聴。

そして作品もさることながらライヴでのポテンシャルがとにかく高い。
実力派バンドだと証明するステージだった。

実力派と言えば TOTAL FAT のシアトリカルな超絶ステージングも然り。

1フレーズでモッシュピットを生むテンションと、注ぎ込むエネルギー量の多さは笑えるほどにすごい。

いよいよ終盤戦。もうエモ界の重鎮と呼ぶべき存在となった
APPLESEED CAST が登場。
エモ界のとはいえ、貪欲にサウンドの幅を広げる深淵で、
洪水のようなギター・サウンドが会場中に鳴り響く。

エモの良心のように言われて来たがもっと広く評価されるべきバンドだ。

続く LOCAL SOUND STYLE は先程も名前を挙げたエド・ローズが
作品をプロデュースした日本のバンド。

メロディアスで美しいロックを奏でたかと思いきやラストはフロント 3 人が暴れ回り、
呆然とする観客の前でギターをステージに叩きつけた。

New Found Glory のジョーダンが天使の歌声なら、
dustbox の SUGA の歌声はミラクルなパワーを生む最高の武器。

ソリッドなアンサンブルと切なくもポジティヴなメロディ。
何拍子も揃った愛されるバンドとして、最も勢いのあるステージとなった。

爽快感を味わった後は、 FAT WRECK 所属の FREZAL RHOMB 。

豪州は風変わりなバンドが多く、
様々な音楽が独特の形で解釈・ミックスされるが、彼らもまたそうだ。
地球の裏側に到達する途中にブラックホールでも存在してるんだろうか……。

いよいよ大トリは、 STRUNG OUT 。

カリフォルニア・パンクスによる、豪速球ビート&リフと強力なシンガロング。

またそういったオールドスクールなスタイルのみならず、
クリエイティヴに新境地を開拓し続けるロック魂で、
モッシュにパワーボムをじゃんじゃん投下し、
1 日爆音を浴びた疲れも忘れさせた。

 ■総論

ライヴ・レポートでも書いたが、
3回目となる今回は前回からステージを一つ分減らし、
バンド数もシェイプされた。

バンド見本市ということならば、
もしかしたら逆にステージを増やして同時多発的に
さまざまなステージで起きることや、
ユニークな音楽、より新しい探求心を持つバンドたちを
目撃してもらう形でもいいのかもしれない。

ジャンルやトレンドに縛られることなく、
実際に音楽シーンでどういうことが起こっているのかを体感するには、
それが最もいいアプローチだろう。

とはいえ、あちらこちらとステージをはしごして、
発見をしていくのも楽しいが、やはりライヴがはじまればじっくりと観たい気持ちも強い。

そういったことでは、今回は観る側にとっては、
ステージ、バンド数ともにいいバランスだったと思う。

ステージの合間に、 TRADE SHOW のブースも何度か覗いたが、
どの時間帯でもまんべんなく賑っていて、気に入ったバンドがいれば、
そのバンドが所属するレーベルの傾向を探ったり、
情報交換をしている姿も、多く見られた。

今年の STREET ROCK DAY は、メジャー級の知名度を誇る、
話題性の高いバンドこそ少数だったかもしれないが、
その分、それぞれにカラーのある、自分たちのサウンドを追求するバンドが多かった。
また、キャリアに胡座をかかずに自身の幅を広げているバンドも多い。

10 年選手の STRUNG OUT も、
また長い間エモの良心のように言われてきた APPLESEED CAST も
( Deep elm の名コンピ『 Emo Diaries 』ですっかりレーベルの看板バンドとなってしまったのもあるが)
作品毎にトライアルがあり進化を遂げている。
そういったバンドたちの今をじっくりライヴで確認できたのはよかった。

なにより、 APPLESEED CAST に関しては待望の初来日だったことも、
個人的には大きかったが。
My space のように、世界中の有名・無名のバンド/アーティストの情報に触れて、
いくらでも自分の気に入ったバンド、気に入る曲を調べ、
またタイムラグなしに話題のものを掴んでいくこともできる。

ツールの一つとしてとても便利で、個人的にもよく活用しているけれど、
やはりアナリスト的に傾向を探り情報の鬼になるよりも、
実際に作品を手にとってアートワークやクレジットまでワクワクしながら見たり、
実際にライヴを体験することは、圧倒的に感動の量が違う。

このイベントでは毎回そのことを実感する。
それだけに今後にもさまざまな期待を寄せてしまう。