in the city JAPAN 〜WHO'S NEXT!〜 へご来場いただきありがとうございました



「進化し続ける運動体」としてのin the city japan

“in the city japan〜WHO'S NEXT!"の3日間を終えた正直な気持ちは、「ああ、本当 に実現できたんだなあ」という感慨に尽きます。思い出してみれば、FMP原盤制作委員会で、イギリスで行われているという音楽コンベンション“in the city"のことが話題に上り、委員会のメンバーそれぞれが「そんなことが日本でもできたらいいね」と口 にしてから1年。今回はまず「第0号」、これからのプロトタイプになればと考え、慌ただしい準備期間を経て10月7日の渋谷ON AIRに辿り着きました。
 FMPが主催する初めての音楽コンベンションを実現させるには、確かに短い期間 だったかもしれません。しかし結果的には、1999年という年にin the city japan 「第0号」を開催できたことに、大きな意味が生まれました。
 現在、世界中の音楽業界が大きく動いています。ハード機器のデジタル化とイン ターネットによる音楽配信の登場によって、マネージメントに携わる私達にも新しい権利意識が求められています。それと同時に、どんなに環境が移り変わろうとも、 アーティストのマネージャーの間には不変のものがあるはずです。「変わり続けるも のといつまでも変わらないもの」のうねりの中で、日本最大の著作隣接権者団体である音楽制作者連盟が、「マネージメントとは何か」という問題意識を確認する場を持てたことは、確かに大きな意義があったと思います。MUSIC CONFERENCEで、今後の音 楽業界を担うキーパーソンの方々の顔合わせが実現し、活発な議論が交わされたこと にそれが見事に証明されていました。
  「今後を担う」という意味では、LIVE UNSIGNEDとLIVE NEWCOMERにも多くの可能性が示唆されていました。いつもは自社アーティストのライヴを手掛けているFMPのメンバーが、言わば「3日間だけのドリームチーム」を結成し72組の出演者を送り出した わけですが、各会場には「この中から明日のスーパースターが出て欲しい」という私 達マネージャーの願いが充分感じられました。  
 CONFERENCEとLIVE、in the city japanの二つの柱で生まれた「問題意識」と「可 能性」を、会員の皆さんそれぞれが持ち返って、自分の仕事に活かしていただければ最高だと思います。
 また、設立後10年間、FMPをリードし続けてきてくださった後藤 豊理事長が退任さ れたことにより、新しいFMPの舵取りを任された役員達が、in the city japanを通じ て一気にコミュニケーションをとれたことも重要でした。もちろん、役員の間だけで はなく、現場マネージャーの方々と一緒に一つのイベントを作り上げられたことも非 常に画期的でした。今までは往々にして、執行部と会員の皆さんの間で、「FMPって何をやっているんですか?」「FMPに何を望んでいるんですか?」という禅問答のような会話が交わされていましたが、これからはフィクションではない、リアルな個々の集合体としてのFMPを感じてもらえると思います。
「第0号」を無事終えられたからといって、in the city japanは進化することをやめ ません 。「第1号」も、あくまで「第2号」に向けてのプロトタイプなのです。私自身、例えば来年のMUSIC CONFERENCEでは、もっと会場にマイクを回してお客さんにも 発言していただけるようにしよう、などと細かい部分では修正点をいくつか挙げることができます。皆さんからもご意見をいただいたり、年何度か開催しているFMPセミ ナーを通じて来年のSessionのテーマを決めていくなど、2000年に向けてさらなる進化形を模索していこうと考えています。
 in the city japanは、単なる「年1回行われるイベント」ではなく、「常に進化し 続ける運動体」なのです。


糟谷銑司 in the city japan実行委員会 委員長